日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
小型末梢肺癌に対するCTガイド下マーキング時に生じた脳空気塞栓により左半身麻痺が残存した1例
及川 武史野本 靖史木下 孔明
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 22 巻 6 号 p. 914-919

詳細
抄録

小型肺腫瘤に対する術前CTガイド下マーキングは一般的に行われている.合併症として空気塞栓を発症し,脳塞栓や心筋虚血などを合併し死に至る可能性もある.我々はCTガイド下マーキング時に空気塞栓症を発症し,その後左半身麻痺が残存した1例を経験したので,考察を加え報告する.症例は59歳男性.胸部CTにて充実性陰影を伴うスリガラス陰影(mixed GGO)を指摘され,当センター紹介となった.3ヵ月間の経過観察で変化がなかったため,手術による精査加療のため入院となった.胸部CTでは術中触知不能と考えられる小型mixed GGOであるため,術前CTガイド下マーキングを施行した.手術当日,マーキング終了直後の咳嗽とともに意識レベルの低下,血圧低下および呼吸状態の悪化を認めた.頭部CTにて右脳血管内空気塞栓と心電図のST上昇が確認され,直ちに救命処置を行った.しかし,左半身麻痺は残存し,発症後4ヵ月の現在リハビリ中である.

著者関連情報
© 2008 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top