2008 年 22 巻 6 号 p. 929-932
今回我々は,健診で発見され,胸腔鏡下に切除した若年者発症のMycobacterium branderiの1例を経験したので報告する.症例は22歳,男性.生来健康であった.会社の健康診断にて胸部異常陰影を指摘され近医を受診.胸部CTにて右上肺野に空洞性病変を指摘され,肺結核疑いにて当院紹介,入院となった.胸部CTでは右S1に約3cm大の空洞性病変を認め,血清アスペルギルス抗原が陽性であったため,肺アスペルギローマと診断された.右上肺野に限局した病変であり,若年齢で全身状態も良好であることより,胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.胸壁との癒着はなく,胸腔鏡下での切除は容易であった.空洞性病変内部の膿より抗酸菌を検出し,16S rRNA塩基配列にてM. branderiと診断された.術後の化学療法は行わずに約3年経過したが,特に症状もなく,再燃も認めていない.