日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
特発性肺胞蛋白症に合併した縦隔リンパ節結核の1例
中村 幸生松村 晃秀桂 浩阪口 全宏伊藤 則正北市 正則
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2009 年 23 巻 1 号 p. 45-48

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抄録

肺胞蛋白症加療中に縦隔リンパ節結核を合併した1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は69歳男性.68歳時より特発性肺胞蛋白症の診断で当院内科にてGM-CSF吸入療法をうけていた.2007年5月肺胞蛋白症の経過観察で施行された胸部CT検査にて左前胸壁直下縦隔側の腫瘤を指摘され,当科紹介受診となった.悪性の可能性を否定できなかったことから手術を施行した.縦隔に2個の腫瘤をみとめこれを摘出した.病理組織診断では,腫瘤はリンパ節で中心壊死を伴う類上皮肉芽腫の所見であった.腫瘤の培養検査で,Mycobacterium tuberculosisの発育を認めたため縦隔リンパ節結核と診断した.術後経過は良好で,術後20日目よりisoniazid,rifampicinの2剤で抗結核化学療法を行い,現在術後3ヵ月になるが結核症および肺胞蛋白症の再燃を認めていない.

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