抄録
症例は48歳男性.20年前に右肋骨腫瘤を指摘されていた.受診1ヵ月前より持続する右胸痛あり.胸部単純写真にて,右上肺野に境界明瞭な円形のスリガラス陰影を認めた.胸部CT検査では,右第2肋骨に辺縁が骨で覆われた最大径10cmの腫瘤があり,内部のCT値は筋肉より軽度高値であった.MRIでは,腫瘤の内部はT1強調画像にて低信号,T2強調画像にて低~高信号が不均一に混在し,造影後は全体的に増強された.以上より,疼痛を伴う線維性骨異形成が最も考えられ,右胸壁腫瘍切除および再建術を施行した.切除標本の病理学的検索では,不規則な形の線維骨形成および紡錘形細胞の増殖を認め線維性骨異形成の診断であったが,悪性所見は認められなかった.