日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
20年の経過観察後確定診断できた杯細胞型肺腺癌の1切除例
阪口 全宏松村 晃秀桂 浩伊藤 則正中村 幸生北市 正則
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2009 年 23 巻 4 号 p. 590-593

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抄録
肺腺癌の中には増殖が緩徐な症例があるといわれるが,長期経過が確認されるものは多くない.今回,20年の経過観察後確定診断できた杯細胞型肺腺癌の1切除例を報告する.症例は,44歳,男性.20年前,職場検診で左下肺野の異常陰影を指摘され,近医で肺結核の治療を受けた.以後,毎年胸部X線写真による経過観察がなされていたが,2006年陰影の大きさや形状に変化が認められた.気管支鏡検査で杯細胞型肺腺癌と診断し,左肺下葉切除術を行った.肺結核として治療を受け,その後,腫瘤影に顕著な変化がないまま長期観察されている症例の中には,進行の緩徐な肺癌が潜在する可能性を念頭におく必要がある.
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© 2009 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
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