2009 年 23 巻 4 号 p. 594-597
症例は,26才初産婦.妊娠36週時に右自然気胸を発症し,胸腔ドレナージを施行されたが軽快しないため,手術目的で当科を紹介された.手術と出産の時期を検討した結果,まず39週時に帝王切開にて出産し,その1週間後に胸腔鏡下ブラ切除術を行った.術後4日目に軽快退院した.妊娠中に自然気胸を合併した場合,妊婦と共に胎児への影響も考慮しなければならない.特に妊娠後期の場合は,気胸の手術を先行するか出産を先行するか苦慮する.本例では出産を先行し良好な経過であった.妊娠後期の気胸の治療方針は,十分なインフォームド・コンセントのもとに決定することが重要である.