2009 年 23 巻 4 号 p. 626-629
症例は71才男性,左肺癌に対して左上葉切除を行った.経過観察中に残存下葉の肺嚢胞と周囲のすりガラス陰影の拡大を指摘された.いずれも徐々に拡大するために異時多発肺癌が疑われた.初回手術後3年目で再手術,左S8区域切除を行った.病理診断はBronchioloalveolar carcinoma pT2N0M0 stage IBであった.肺嚢胞拡大の原因として,腫瘍細胞による肺胞壁破壊とともに肺葉切除による気管支の変形がもたらしたチェックバルブも考えられた.