2019 年 69 巻 3 号 p. 255-258
患者は20歳代,女性.臍周囲腹部痛を主訴に来院した.精査の結果,メッケル憩室炎,限局性腹膜炎の診断でCefmetazoleによる保存的治療を開始した.腹部所見は一旦改善したものの再燃した.そのためメッケル憩室切除術を予定し開腹手術を施行した.開腹時所見では,メッケル憩室と思われたものは固い充実性腫瘤であり,それが細い索状物を介して小腸に癒着しているものと判明した.何らかの腫瘍性病変と診断し,これを摘出した.組織型はleiomyoma with infarctionであった.以上から自然発生性parasitic leiomyomaと診断した.術後経過は良好で術後7日目に退院した.Parasitic leiomyomaは非常に稀であり,今回われわれは自然発生性parasitic leiomyomaの1例について経験したので,文献的考察を加えて報告する.