日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
子宮体癌縦隔リンパ節転移との鑑別を要した縦隔血管腫の1切除例
吉田 勤田中 良太中里 宜正飯島 美砂呉屋 朝幸
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キーワード: 縦隔血管腫, 縦隔腫瘍, MRI
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2009 年 23 巻 5 号 p. 761-766

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抄録

症例は70歳,女性.2年前に他院で子宮体癌根治術を施行された.術前より前縦隔領域に腫瘤を指摘されており,その後同腫瘤の増大および腫瘍マーカー(CA125)の上昇がみられ,子宮体癌縦隔リンパ節転移の診断で全身化学療法を施行された.化学療法後は腫瘍マーカーが低下したが,縦隔病変は徐々に増大したため,放射線治療を目的として当センターに紹介された.同腫瘤はComputed Tomography(CT)およびMagnetic Resonance Image(MRI)所見からは転移性リンパ節腫大よりもむしろ,神経原性腫瘍もしくは奇形腫等の縦隔原発腫瘍が考えられた.同病変に対し胸骨正中切開による腫瘍および拡大胸腺摘出術を施行した.術後病理診断は血管腫であった.縦隔発生の血管腫は稀な疾患であり,術前の診断が困難であることが多いとされている.今後さらなる症例の集積により,縦隔血管腫の術前診断が可能となることが期待される.

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