日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
縦隔腫瘍と鑑別を要した肝鎌状間膜脂肪織を内容としたMorgagni孔ヘルニアの一例
田村 創飯田 智彦高橋 好行柴 光年
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2009 年 23 巻 5 号 p. 757-760

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抄録

背景:縦隔腫瘍との鑑別が困難であった肝鎌状間膜脂肪織を内容とするMorgagni孔ヘルニアの一例を経験したので報告する.症例は,48歳女性.腹痛にて当院内科受診.来院時の胸部単純X線写真にて異常陰影を指摘され,当科受診.胸部CT,MRIにて前縦隔右側に脂肪織と同濃度の腫瘤を認め,縦隔腫瘍,横隔膜ヘルニアなどを疑い手術施行.胸腔内に脂肪塊を認め,ヘルニア門より腹腔内に還納されたため,Morgagni孔ヘルニアと診断した.腹部正中切開を追加し,腫瘤摘出術,ヘルニア修復術を施行した.ヘルニア内容物は,肝鎌状間膜に基部を持つ脂肪組織であった.肝鎌状脂肪織を内容とするMorgagni孔ヘルニアは,検索しうる範囲内では本例を除いて1例のみであった.

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