抄録
症例は32歳,女性.尿路結石で受診の際にCTにて胸部異常影を指摘された.胸腔鏡下肺部分切除を施行したが術後永久標本にて非定型カルチノイドであり約2週間後,右中葉切除,ND2aを施行した.病期はpT1N2M0 stage III Aであった.術後経過は良好であったが,高Ca血症,intact PTHの上昇および副甲状腺3腺の腫大をみとめ,原発性副甲状腺機能亢進症を疑い手術を施行した.病理は副甲状腺過形成であった.多発性内分泌腺腫症1型を疑い遺伝子検索を行ったところMEN1遺伝子のexon 4の変異が確認され確定診断となった.多発性内分泌腺腫症1型に肺カルチノイドを合併することは比較的稀であり文献的考察を加えて報告する.