日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
胸膜孤立性線維性腫瘍の4例
荒木 邦夫三好 健一郎目次 裕之徳島 武
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 23 巻 7 号 p. 941-945

詳細
抄録
当院で経験した胸膜孤立性線維性腫瘍(SFT)4例を臨床病理学的に比較検討した.いずれも無症状で,偶然に画像検査で発見されており,診断治療目的に胸腔鏡下切除を行った.腫瘍径14~41mm(平均23mm),臓側胸膜発生が3例,壁側胸膜発生が1例.胸膜との付着形態は有茎性,無茎性が各々2例ずつであった.いずれも壊死はみられなかった.しかし1例(症例4:57歳女性,腫瘍径14mm,臓側胸膜発生で無茎性の付着形態)は出血を伴っており,他の3例と比較して腫瘍細胞密度が高く,腫瘍内新生血管が目立ち,少数の核分裂像を見出した.CD34は症例4のみ反応陰性であった.Ki67 Labeling indexについては,症例4は20%,他は2~10%と判定した.4例とも術後再発はない.SFTの良悪性を判断する明確な基準は未だ確立されていないが,症例4は潜在的悪性度を有する腫瘍と推定した.
著者関連情報
© 2009 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top