日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
保存的治療にて治癒した肺癌術後気管支断端瘻の1例
小山 孝彦藤本 博行水渡 哲史高橋 祐介福冨 寿典成毛 聖夫
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2010 年 24 巻 1 号 p. 018-023

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抄録
保存的治療にて治癒した肺癌術後気管支断端瘻の1例を経験したので報告する.症例は73歳,男性.肺腺癌,cT2N0M0に対し右下葉切除術,ND2aを行った.術後9日目,気管支断端に潰瘍性変化を認めた.16日目,気管支は壊死し瘻孔を形成していた.膿胸腔は縦隔側に小さく限局しており,ドレーン挿入は困難であった.外科治療も考慮したが,発熱,血痰などの症状を認めなかったため保存的に経過観察とした.定期的に気管支鏡検査を行い,壊死物質を除去し洗浄した.肺炎を合併したものの瘻孔部は除々に肉芽で覆われ,術後43日目には自然閉鎖した.気管支断端瘻・膿胸が保存的に治癒した要因としては,膿胸腔が小さく限局していたこと,感染のコントロール,および栄養状態を含めた全身状態が比較的良好であったことが考えられた.
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