抄録
症例は62歳,男性.検診で胸部異常陰影を指摘され,精査のため当科紹介となった.胸部CTにて第10胸椎右側に接して3×2cm大の境界明瞭で辺縁平滑な腫瘤陰影を認めた.内部は不均一で脂肪組織と軟部組織の濃度が混在し,椎体骨の破壊像や胸水,周囲組織への浸潤は見られなかった.神経原性腫瘍を疑い胸腔鏡下に腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は肉眼的には薄い被膜を有し柔らかく,卵円形で赤褐色を呈していた.組織学的には成熟脂肪細胞が分葉状に増生し,所々に正赤芽球,巨核球などの正常造血組織を伴っていた.明らかな血液疾患などの既往がないことから後縦隔より発生した骨髄脂肪腫と診断した.