抄録
症例は37歳男性.2007年12月より持続する右胸部痛出現,胸部レントゲンで右肺に液体が貯留した巨大な嚢胞を認めた.胸部CTでは右上葉の嚢胞化,気腫化が著しく,巨大な嚢胞内に液体が貯留していた.2008年2月手術施行.右上葉の性状が著しく不良であったため,肺葉切除とした.病理検索では肥厚した嚢胞壁にラングハンス型多核巨細胞を伴った類上皮細胞肉芽腫を認めたが,Ziehl-Neelsen染色は陰性であった.嚢胞内液体は一般細菌培養では陰性であったが,抗酸菌培養でMycobacterium aviumが陽性となった.以上からMycobacterium aviumによる感染性肺嚢胞と診断した.肺葉切除後の残存肺に炎症所見を認めず,術後化学療法は行っていないが,術後1年の時点で再燃・再発を認めていない.感染性肺嚢胞では,非常に希であるものの起因菌に非結核性抗酸菌も念頭に置く必要があると考えられる.