2010 年 24 巻 2 号 p. 134-139
2001~2008年までの8年間に当科で外科的治療を施行した胸囲結核症例13例についてretrospectiveに臨床的検討を行った.術前の結核診断は,膿汁からの結核菌の塗抹・培養検査陽性が7例(54%),核酸増幅検査(PCR)のみ陽性が3例(23%),未診断が3例(23%)であった.術式は掻爬・開放した後2期的に筋弁充填を施行したものが2例,膿瘍切除または掻爬を施行したものが10例,ドレナージのみが1例であった.13例中9例に腐骨(肋骨または胸骨)の合併切除を施行した.2期的手術症例を含む7例に筋弁充填を施行した.結核化学療法(3剤または4剤併用)を術前は11例に2週間以上,術後は全例に3剤併用療法を6ヵ月以上施行した.平均観察期間22.3ヵ月において,10例(75%)が再発・再燃なく経過した.再発予防には膿瘍切除および腐骨切除等の充分な切除と術前2週間以上・術後6ヵ月以上の3剤併用化学療法が再発予防に重要である.