日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
胸腺非定型カルチノイドの切除を契機に合併が確認された多発性内分泌腺腫症(MEN)1型の1症例
上野 克仁室田 欣宏漆山 博和山田 嘉仁山口 哲生竹内 靖博
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2010 年 24 巻 2 号 p. 181-186

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抄録
胸腺非定型カルチノイドの切除を契機に合併が確認された多発性内分泌腺腫症(MEN)1型の稀な1症例を経験した.症例:2型糖尿病を合併した40歳男性.健診発見の前縦隔腫瘍.重症筋無力症の合併なし.画像検査上悪性を示唆する所見は認めなかった.肉眼上も胸腺右葉の被包化された腫瘤であり,迅速診断でも胸腺カルチノイドまたはtype A胸腺腫とされたため,胸腔鏡下腫瘍切除術を施行した.病理組織検査では被膜外浸潤を伴う胸腺非定型的カルチノイドと確定され,後日胸骨正中切開による拡大胸腺全摘術と術後放射線治療を追加した.術前より存在した高カルシウム血症の精査にて,intact-PTH,プロラクチン,成長ホルモン,ガストリンの高値を,画像検査で副甲状腺腺腫,膵尾部腫瘍を認め,MEN1型と診断した.副甲状腺腺腫に対しては副甲状腺全摘術を施行.膵尾部腫瘍は経過観察中である.胸腺術後19ヵ月経過し再発の徴候はない.
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