日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
膿胸および肺炎随伴性胸水に対するウロキナーゼ胸腔内注入療法の検討
中川 拓今野 隼人佐々木 智彦大山 倫男伊藤 学齋藤 元南谷 佳弘小川 純一
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2010 年 24 巻 4 号 p. 733-741

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抄録

フィブリンの析出のためにドレナージが困難となった急性膿胸および肺炎随伴性胸水に対して,胸腔鏡下の手術奏功例が多数報告されているが,全身状態が不良で手術困難な場合も少なくない.このような症例に対してウロキナーゼの胸腔内投与の有用性が報告されている.しかし標準的な投与方法は確立していない.当科でウロキナーゼの投与を行った急性膿胸および肺炎随伴性胸水5例を対象に,ウロキナーゼ投与方法,治療期間,効果を中心にretrospectiveに検討した.全例で多房性胸水を認めていた.4例は発症後1~16日の経過で,ウロキナーゼ投与(1回12万単位,6~9回投与)のみで肺の良好な再膨張が見られた.ウロキナーゼ注入に加えて外科治療を要した1例は,発症から1ヵ月経過した膿胸で,手術後治癒した.出血などの合併症はなかった.ウロキナーゼの胸腔内投与は簡便であり大きな合併症もなく,poor risk症例に対して考慮すべき治療法と思われた.

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