抄録
肺過誤腫のほとんどは肺実質型であり気管支内過誤腫は比較的まれである.我々は繰り返す肺炎を契機に発見された気管支内過誤腫の一手術例を経験したので報告する.症例は61歳男性.7年前から計3回の繰り返す肺炎の既往があり,半年前にも肺炎を来たし近医にて内科的治療を施行された.肺炎軽快後もCTにて左S6区域に異常陰影を指摘され当科紹介となった.気管支鏡検査では左B6入口部に気管支内腔を閉塞する腫瘤を認め,生検の結果,気管支内過誤腫と診断された.気管支鏡下治療は困難と判断し左S6肺区域切除を施行した.病理所見では左B6cの気管支壁から発生しB6区域支の内腔に増殖する1.6cm大の軟骨性過誤腫であった.術後経過は順調であった.