抄録
症例は59歳男性,持続する両側頚部腫脹を自覚し受診.頚胸部CTを施行し,両側顎下腺腫脹,縦隔リンパ節の腫大を認めた.頚部針生検施行したが,結果は炎症性唾液腺組織であり,悪性細胞は認めなかった.肺癌,悪性リンパ腫等を疑い胸腔鏡下縦隔リンパ節生検を施行したが,悪性所見を認めず炎症性腫大であった.シェーグレン症候群,ミクリッツ病を疑い採血,顎下腺組織免疫染色を追加し,リンパ球は著名なIgG4陽性形質細胞浸潤を認めた.また,dry eye,dry mouthも認め,血清IgG 1,618 mg/dl,IgG4 487 mg/dl,抗SS-Aと抗SS-B,抗核抗体は陰性であった.以上よりシェーグレン症候群ではなくミクリッツ病と診断した.現在は,プレドニゾロン40 mg/dayより開始し漸減中であるが,唾液腺,縦隔リンパ節は縮小し,dry eye,dry mouthの改善も認めた.