2012 年 26 巻 1 号 p. 069-074
縦隔軟部肉腫の頻度は低い.化学療法後に切除した中縦隔spindle cell sarcomaの1例を経験したので報告する.症例は59歳,男性.検診で胸部異常陰影を指摘され,中縦隔腫瘍の診断で当科紹介となり,EUSを用いた経食道的生検で神経原性腫瘍を疑われた.術前評価で腫瘍の一期的な完全切除が困難と考え,全身化学療法を先行した.化学療法後の画像評価で切除可能と判断し,気管支動脈造影と塞栓術を行った後に食道外膜筋層合併切除と右肺中下葉切除を伴う中縦隔腫瘍摘出術を施行した.術後経過は良好であった.病理標本では未分化なspindle cell sarcomaの所見であった.術後1年6ヵ月経過し再発の兆候を認めていない.