日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
不完全型Carney's triadの1例
—本邦報告11例の臨床的検討—
坪井 光弘吉澤 潔環 正文三浦 一真
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2012 年 26 巻 1 号 p. 079-084

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抄録
症例は25歳,女性.咳嗽を主訴に近医を受診したところ,胸部X線にて右肺に多発腫瘤影を指摘された.CTで右上葉に多発する石灰化を伴った粗大な結節が認められると同時に,胃体部大弯に粘膜下腫瘍を指摘された.右肺上中葉切除,胃部分切除を施行したところ,肺腫瘍は軟骨腫,胃粘膜腫瘍は消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor; GIST)と診断された.1977年,Carneyらは胃平滑筋肉腫(現在ではGISTとして扱われている),肺軟骨腫,副腎外傍神経節腫の3つの稀な軟部腫瘍を合併する症例をひとつの症候群(Carney's triad)として提唱した.しかし3病変をすべて合併する完全型は稀であり,診断は上記3病変のうち2病変以上の合併をもってなされる.本症例は胃,肺の2病変のみを有する不完全型Carney's triadと考えられた.Carney's triadは極めて稀な疾患であり,自験例を含めた本邦での報告11例の文献的考察を加えて報告する.
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