2012 年 26 巻 5 号 p. 498-502
超高齢者肺癌患者に対する外科的治療における予後因子に関し統計学的検討を行った.1992年1月から2011年3月までに原発性肺癌に対して当院にて手術を行った80歳以上の高齢者55例を対象とした.男性29例,女性26例,平均年齢は81.9歳.術式は肺葉切除46例,区域切除2例,部分切除7例,リンパ節郭清はND2a 41例,ND1 7例,ND0 7例であった.組織型は腺癌36例,扁平上皮癌14例,その他5例,術後病理病期はIA期30例,IB期12例,II期7例,III期6例であった.全症例の5年生存率は60.3%であった.予後因子の検討では男性,扁平上皮癌で有意に予後不良である一方,術式,術前合併症の有無では生存期間に有意差を認めなかった.適応や術式に関して十分な検討を行えば,80歳以上の超高齢者であっても比較的良好な予後が得られると考えた.