日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
検診で発見された肺孤立性リンパ管腫の1例
今井 一博高原 聡子南谷 佳弘齋藤 元三井 匡史小川 純一
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2012 年 26 巻 5 号 p. 563-567

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抄録

リンパ管腫は通常頸部に生じ,腋窩などに進展する.リンパ組織が存在するあらゆる部位に存在するが胸部では縦隔に多く,肺内での発生は稀である.症例は15歳女性.学校検診で左下肺野17 mm大の銭型陰影を指摘された.胸腔鏡下肺部分切除術を行い,施行した病理学検査では,肺実質内に散在性に不規則なリンパ管の拡張,紡錘形細胞の増生,肺胞壁の線維化を伴う肥厚を認めた.免疫組織学検査ではCD34陽性,リンパ管内皮細胞に特異的なD2-40陽性,αSMA一部陽性,AE1/AE3, desmin, HMB45, ER, PgRはそれぞれ陰性であり,肺孤立性リンパ管腫と診断した.再発例はないものの,再増大を示す場合も報告されているため,今後は注意深い観察が必要である.

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