2012 年 26 巻 5 号 p. 559-562
症例は79歳・男性,2007年5月左自然気胸を発症し,胸腔ドレナージで改善が得られた.しかし同年6月左自然気胸再発を呈し,再度胸腔ドレナージが施行された.再発かつドレナージ後気瘻が遷延したことから手術を施行した.切除標本の病理組織学的検査でブラ基部に径7 mmの腺癌が認められ,原発性肺癌(pT1a)と診断した.追加切除は行わず経過観察中であるが,術後55ヵ月を経て無再発生存中である.高齢,重喫煙,気腫性肺嚢胞等の因子を有する自然気胸症例においては,肺癌の存在を念頭に周術期を通じた慎重な検索が肝要と考えられた.