日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
肺区域切除における術前CTアンギオグラフィー
鈴木 潤大泉 弘幸加藤 博久深谷 建渡会 光貞弘 光章本間 次男
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2012 年 26 巻 6 号 p. 586-590

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抄録

肺区域切除術を安全かつ円滑に遂行する上で,術前に肺血管の分岐を把握することは重要であり,我々は3DCTが有用であることを報告してきた.一回撮像によるCTを用いる場合,動静脈のコントラストが明瞭であることが望まれる.造影CTで通常行われていた(A法)と当院で工夫した生理食塩水を後押しする方法(B法)を後ろ向きに検討した.
対象は2008年1月~2009年11月までに,胸腔鏡下区域切除を行った22例.うちわけはA法が10例,B法が12例であった.
3DCT画像における肺動静脈区別が良好例および不良例はA法で1例:9例,B法で9例:3例であった(p=0.002).
肺動脈と左房におけるCT値の測定で,その較差はA法で22.1, B法で106.6であり,B法が有意に肺動静脈の濃度差が大きかった(p=0.002).
一回撮像法による造影CTにおいて,B法は肺動静脈の区別描出に有用であった.

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