日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
強皮症を伴った巨大肺嚢胞の1手術例
張 吉天吉村 誉史大畑 恵資伊東 真哉寺田 泰二松原 義人
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2013 年 27 巻 4 号 p. 534-537

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抄録

症例は33歳男性.4年前に健康診断で巨大肺嚢胞を指摘され,当科を紹介されたが,治療を受けず再診しなかった.労作時息切れ,両手浮腫,チアノーゼと関節痛を自覚するようになり,受診した近医より巨大肺嚢胞を指摘され再診.関節炎症状が強かったため,膠原病科に精査依頼したところ,びまん皮膚硬化型の全身性強皮症(SSc)と診断された.SScに対してNSAIDsとPGI2誘導体の投与が開始され,巨大肺嚢胞に対しては,胸腔鏡下肺嚢胞切除術を施行した.術後には,呼吸器症状の改善を認め,SScに対してプレドニンの内服を継続している.肺嚢胞を併発する膠原病としてはシェーグレン症候群が多く報告されているが,SScの合併は非常に少ない.SScと巨大肺嚢胞の関係は不明であるが,SScによる肺胞壁の破壊が肺嚢胞形成に関与している可能性が考えられた.

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