日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
開胸下に摘出した気管支異物(エビ足分節)の治療経験
森野 茂行中村 昭博土肥 良一郎
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2013 年 27 巻 5 号 p. 580-583

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抄録
症例は47歳女性.エビの頭を吸いながら食べていた時に誤嚥した.咳嗽が続き食後8日目に,強い咳とともにエビの足の一部が喀出された.しかしその後も咳嗽と血痰が続くため,当院を受診した.胸部CTで右B9気管支の閉塞と末梢無気肺を認め,その内部に点状の高吸収域が存在した.エビ足分節の遺残を考え気管支鏡検査を行ったが,可視範囲に確認できなかった.開胸下に遺残する足分節の摘出を行う予定とし,小開胸で右下葉を観察した.肺底区に4 cmの炎症性結節を認め,内部にエビ足2分節の高エコー域を認めた.肺実質を切開し足分節を摘出したが,摘出異物がエコーで確認した長さより短かった.そのため術中気管支鏡を行ったところ,右主気管支内にもう1分節を確認した.1分節を摘出した際に,もう1分節が落下したと考え気管支鏡で摘出した.気管支内に陥頓したエビ足分節を,右開胸下に双方向からの気管支鏡を併用し摘出した.
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