抄録
病理病期I期非小細胞肺癌術後,脳が初再発部位となる頻度は低く,全例に厳密な脳転移スクリーニングを行うことは現実的ではない.そこで病理病期I期非小細胞肺癌術後に脳転移で再発した症例を検討し,高危険群,低危険群を同定すると共に,術後脳転移スクリーニングのあり方について検討した.対象は1999年1月から2008年12月までに根治術を施行した病理病期I期非小細胞肺癌218例中,観察期間が4年未満の未再発例33例を除く185例で,脳転移で再発した8例を非脳転移177例と比較した.その結果,T1b以上の非扁平上皮癌で分化度が低く,右上葉発生のものは脳転移再発のリスクが高いことが判明した.術後3年以上経過して脳転移を来した症例も2例あり,高危険群に対しては比較的長期間にわたる術後脳転移スクリーニングが必要と思われた.