日本呼吸器外科学会雑誌
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27 巻 , 7 号
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原著
  • 飯田 智彦, 柴 光年, 佐田 諭己, 高橋 好行, 石橋 史博, 藤原 大樹
    2013 年 27 巻 7 号 p. 788-793
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    病理病期I期非小細胞肺癌術後,脳が初再発部位となる頻度は低く,全例に厳密な脳転移スクリーニングを行うことは現実的ではない.そこで病理病期I期非小細胞肺癌術後に脳転移で再発した症例を検討し,高危険群,低危険群を同定すると共に,術後脳転移スクリーニングのあり方について検討した.対象は1999年1月から2008年12月までに根治術を施行した病理病期I期非小細胞肺癌218例中,観察期間が4年未満の未再発例33例を除く185例で,脳転移で再発した8例を非脳転移177例と比較した.その結果,T1b以上の非扁平上皮癌で分化度が低く,右上葉発生のものは脳転移再発のリスクが高いことが判明した.術後3年以上経過して脳転移を来した症例も2例あり,高危険群に対しては比較的長期間にわたる術後脳転移スクリーニングが必要と思われた.
  • 幸 大輔, 川野 理, 深井 一郎, 遠藤 克彦
    2013 年 27 巻 7 号 p. 794-798
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    【目的】自然気胸における肺尖部の索状癒着は血気胸を生じる危険性がある.これをCTでどれほど検出できるか検討した.【対象と方法】2005年1月から2012年12月まで,当院で胸腔鏡手術を行った本人申告初発自然気胸154例に対し,MPRも併用し,胸部CTによる索状癒着の検出を試みた.【結果】154例中,索状癒着が指摘された症例は31例で,全例胸腔鏡でも索状癒着を確認した.一方,残る123例は指摘出来なかったが,その内4例に術中に索状癒着を確認した.結局,154例中35例(22.7%)に索状癒着が存在し,その35例中31例(88.6%)はCTで検出可能であった.【結語】肺尖部索状癒着は血気胸の原因となるため,これを認める症例は初発再発に関係なく手術適応としても良いと考える.CTはそのようなリスクを有する症例の約90%を検出でき有用であった.
  • 井上 匡美, 新谷 康, 中桐 伴行, 舟木 壮一郎, 須﨑 剛行, 澤端 章好, 南 正人, 奥村 明之進
    2013 年 27 巻 7 号 p. 799-804
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    胸腺腫術後再発に対する標準治療はない.我々は再発後治療成績を明らかにすることを目的に遡及分析を行った.対象は当施設で手術を施行した胸腺腫190例中再発を認めた25例(13.2%).病理学的WHO分類は,type AB 2例,B1 2例,B2 9例,B3 12例,正岡病期は,I期3例,II期2例,III期9例,IVA期8例,IVB期3例.無病期間中央値は26.2ヵ月.初期再発部位は胸膜播種17例,縦隔局所6例,肺転移2例.再発後治療は,外科切除14例(播種切除20回,局所切除2回,肺転移切除1回,リンパ節郭清1回),化学療法10例,および放射線治療4例であった.全体の再発後3年・5年生存率はそれぞれ86%・79%で,切除例・非切除例の3年生存率はそれぞれ100%・68%であった(p=0.06).胸腺腫術後再発形式では胸膜播種が最も多く,再切除可能な症例では生存期間の延長が期待できる.
  • 前田 愛, 中田 昌男, 保田 紘一郎, 湯川 拓郎, 最相 晋輔, 沖田 理貴, 平見 有二, 清水 克彦
    2013 年 27 巻 7 号 p. 805-811
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    深在性肺真菌症である肺アスペルギルス症,特にアスペルギローマは根治術を期待できることから外科治療の適応とされている.しかし,肺アスペルギルス症の周術期の抗真菌薬投与に関しては一定のコンセンサスがなく,各施設の方針で行われているのが現状である.今回我々は過去8年間に肺アスペルギルス症に対して当院で手術を施行した13症例について検討を行い,術後抗真菌薬の投与の必要性について考察した.全症例で基礎疾患を有し,呼吸器疾患11症例,自己免疫疾患2例,悪性疾患4例であった.術前に抗真菌薬を投与された症例は5例で,術式は肺葉切除以上が4例,区域切除2例,部分切除7例.このうち10例で術後補助療法としての抗真菌薬の投与は行わなかった.術後観察期間は平均879日で,90日以上経過観察しえた12例において,術後再燃は認めておらず,術後補助療法としての画一的な抗真菌薬投与の必要性は低いものと考えられた.
症例
  • 山木 実, 則行 敏生, 米原 修治
    2013 年 27 巻 7 号 p. 812-816
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    ゲフィチニブ耐性化した局所再発巣に対しサルベージ手術を行い,その後の再発に対しゲフィチニブの投与が有効であった症例を経験したので報告する.症例は74歳,女性.右肺腺癌に対し肺部分切除施行.術後11年目に両側肺多発結節,両側肺門・縦隔リンパ節腫大,右鎖骨上リンパ節腫大を認めた.右鎖骨上リンパ節生検を行い肺腺癌・EGFR遺伝子変異陽性と診断された.化学療法施行後,ゲフィチニブを導入し腫瘍は著明に縮小した.その後,右肺の局所再発巣のみ残存し,増大傾向を示した.ゲフィチニブ耐性化したものと判断し切除術を施行した.摘出標本からのEGFR遺伝子検査にてT790M耐性遺伝子を認めた.術後4ヵ月で左肺に再発巣が出現,ゲフィチニブ再投与により再発巣は消失した.獲得耐性部位が限局している場合には,外科療法を考慮すべき余地があると考えた.
  • 門司 祥子, 岩田 輝男, 宗 知子, 浦本 秀隆, 花桐 武志, 田中 文啓
    2013 年 27 巻 7 号 p. 817-821
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    症例は66歳男性.腰部脊柱管狭窄症の精査中,胸部X線にて右下肺野に26 mm大の結節影を認め,CT検査にて右第6肋骨より胸腔内に発育する腫瘍を認めた.造影MRI検査にてT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を呈し,造影効果はわずかであったため,軟骨肉腫が疑われ,軟骨腫等が鑑別にあがった.術前生検は施行せず,3 cmの切除縁を確保しての広範切除術を施行した.術中迅速病理検査にてlow gradeの軟骨肉腫あるいは軟骨腫との診断であった.胸壁はMarlex meshにて再建した.最終病理検査にて,軟骨肉腫(Grade 1)の診断であった.軟骨肉腫は外科的切除以外に有効な治療法はないとされており,広範切除を行うことが肝要である.
  • 古市 基彦, 村松 高, 西井 竜彦, 石本 真一郎, 諸岡 宏明, 塩野 元美
    2013 年 27 巻 7 号 p. 822-825
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    症例は37歳,女性.腰痛を主訴に近医を受診.腰椎X線検査にて偶然,下肺野に腫瘤影を認めたため,当院呼吸器外科に紹介された.胸部X線写真で左下肺野に約9 cmの境界明瞭円形の腫瘤陰影を認め,胸部CTおよびMRIにて第9椎間孔から椎体を破壊し脊柱管内に伸展する,ダンベル型の腫瘍を認めた.腫瘍は脊髄硬膜内には伸展しておらず,中枢に近い肋間神経から発生した神経鞘腫と考えられた.手術は一期的にまず後方より神経根を処理した後,体位変換し前方アプローチとしては10 cmの第5肋骨床開胸,胸腔鏡併用で開始した.しかし腫瘍径が大きく,腫瘍の強度の広範癒着のため胸腔内操作に難渋し,胸腔内操作にもう一ヵ所の開胸創を要した.術後経過良好で,腰痛は軽快した.ダンベル型腫瘍に対する胸腔鏡補助下の後方+前方アプローチは美容や安全性の面から導入すべき手技であるが,胸腔鏡の役割は補助的な使用にとどめるべきであると考える.
  • 宮原 栄治, 板垣 友子, 桑原 正樹, 亀田 彰
    2013 年 27 巻 7 号 p. 826-831
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    症例は,61歳,男性,主訴は右胸部痛,胸部CTにて右上葉から中葉に胸膜に接する多数の腫瘤性病変を認めた.PET-CTにてSUVmax 13.9の集積を認め,経皮的針生検にて腺癌と診断した(EGFR遺伝子変異は陰性).右上葉原発の肺腺癌,中葉転移,cT4N0M0, cStage IIIAと診断し,カルボプラチン,ペメトレキセド,ベバシズマブ投与を6コース施行した.胸部CTにて腫瘍は縮小し,PET-CTにてSUVmax 3.0まで低下した.化学療法が著効し治癒切除が可能と判断した.化学療法後6週間後に右上葉切除,中葉部分切除,第2-5肋骨合併切除を行った.術後病理診断では右上葉のごく一部に2 mmのviableな腺癌を認めるものの,ほぼすべてが凝固壊死していた.Ef.3に近いEf.2と診断された.切除不能非小細胞肺癌に対しカルボプラチン,ペメトレキセド,ベバシズマブによる化学療法が奏効し治癒切除可能となった.
  • 野口 未紗, 奥村 典仁, 中野 淳, 山科 明彦, 松岡 智章, 亀山 耕太郎
    2013 年 27 巻 7 号 p. 832-836
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    症例は37歳女性.35歳時に乾性咳嗽が出現し,近医受診.胸部レントゲンで異常影を認め,喀痰検査でGaffky 2号,Mycobacterium avium(以下M. avium)が検出された.胸部CTでは右下葉に浸潤影と石灰化,さらに大動脈から分岐する異常血管を認め,肺葉内肺分画症(Pryce III型)に合併した非結核性抗酸菌症と診断された.まずはCAM+RFP+EBの3剤併用で治療し,1年8ヵ月後には排菌は消失,陰影は改善を認め,肺分画症に対する手術目的に当科紹介となった.手術は胸腔鏡下右下葉切除術を施行した.切除肺の病理所見では右肺底区近傍の分画肺に流入する異常血管を認め,分画肺内には乾酪壊死と類上皮細胞性肉芽腫の形成を認める部位があり,同部はZiehl-Neelsen染色で抗酸菌が多数同定された.肺分画症に非結核性抗酸菌症を合併した症例は稀であり,文献的考察を加え,報告する.
  • 廣野 素子, 野中 誠, 氷室 直哉, 齊藤 光次, 門倉 光隆, 成瀬 博昭
    2013 年 27 巻 7 号 p. 837-840
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    弾性線維腫は肩甲骨下や胸壁に好発し,緩徐に増大する良性腫瘍である.症例は61歳の男性.右背部の違和感ならびに腫瘤触知にて近医を受診,肩甲骨下部に発生した軟部腫瘍の疑いで当院へ紹介となった.胸部CT上,右肩甲骨下部の胸壁と広背筋の間に,内部に脂肪を含む筋肉と同吸収域の腫瘍を認めた.胸部MRIでは,同部位にT1・T2強調像ともに筋肉と等信号を示し,内部に一部高信号域がみられた.画像所見と発生部位より弾性線維腫を疑ったが,腫瘍径が大きく有症状であったため,全身麻酔下に腫瘍摘出術を施行した.病理学的には束状の膠原線維の増生が主体で,硝子様変化を示す部分が混在し,弾性線維腫の診断であった.本症は整形外科や形成外科領域での報告例が散見されるが,呼吸器外科医も臨床症状や画像所見から本疾患を念頭におくべきと考え報告した.
  • 山田 響子, 西村 秀紀, 有村 隆明, 小沢 恵介, 近藤 竜一, 蔵井 誠
    2013 年 27 巻 7 号 p. 841-847
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    肺粘表皮癌は比較的稀な腫瘍であるが,我々は3例を経験することができたため報告する.症例1は51歳の女性で,主訴は咳と喀痰.右下葉原発肺癌の診断で右肺摘除術を施行した.高悪性度粘表皮癌と診断したが,術後1ヵ月で再発し1年半で永眠した.症例2は16歳の女性で,健診で異常を指摘された.術中,粘表皮癌の診断で,右下葉切除術を施行した.術後,低悪性度粘表皮癌と診断した.その後再発なく経過している.症例3は54歳の女性で,人間ドックで異常を指摘された.術中,腺癌の診断で,右下葉切除術を施行した.術後,低悪性度粘表皮癌と診断した.再発なく経過している.以上の3症例に,最近10年間の本邦報告30例を加えた33例を集計し,その臨床的特徴を検討し,今後の課題につき考察した.
  • 藤原 大樹, 石橋 史博, 高橋 好行, 飯田 智彦, 柴 光年
    2013 年 27 巻 7 号 p. 848-852
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    症例は40歳代男性.2012年X月前日に出現した安静時呼吸困難感が増悪し,救急隊を要請した.救急隊現着時は意識清明であったが,搬送中に意識消失,心肺停止状態となった.当院到着時には心肺停止は継続していた.蘇生処置を行いつつ,胸部X線で両側緊張性気胸と判明したため,救急外来にて胸腔穿刺の後,両側胸腔ドレナージを施行した.自己心拍再開し,全身管理目的に集中治療室入院となった.その後意識状態,全身状態が改善し,第26病日両側気胸手術を行った.術後の経過は順調でリハビリの後,第73病日リハビリ病院転院となった.両側緊張性気胸は比較的まれな疾患であり,心肺停止後蘇生されたという報告も少ない.本症例のように迅速かつ適切な加療が救命には必須である.
  • 喜田 裕介, 三崎 伯幸
    2013 年 27 巻 7 号 p. 853-857
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性で,2002年の検診にて胸部異常陰影を指摘されたが,炎症性病変と判断され経過観察はされなかった.2011年の検診にて再び胸部異常陰影を指摘され,胸部CT上,ごく僅かに増大を認めた.気管支鏡検査を行ったが確定診断は得られず,診断と治療目的で手術適応とし当科紹介となった.胸腔鏡下左肺上葉部分切除術を施行した.摘出標本より野口C型の粘液産生性粘液非産生性混合型肺腺癌と診断した.腫瘍倍加時間は1,631日と非常に緩徐な発育で,免疫組織化学を粘液産生と粘液非産生部にわけ施行したが,p53蛋白は陰性で,Ki-67は5%未満とどちらの部位も悪性度は極めて低かった.充実性陰影を呈し緩徐な発育を呈する低悪性度の肺腺癌を経験した.
  • 小林 広典, 鈴木 実
    2013 年 27 巻 7 号 p. 858-862
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    症例は10歳,男児.学校検診で心雑音を指摘され,近医を受診し,胸部X線写真で右上肺野に2 cm大のcoin lesionを指摘された.8ヵ月の経過観察の後,2.6 cm大に増大したため,当科紹介受診となった.胸部CTで右S1に26×24 mm大の境界明瞭,辺縁平滑で内部均一な結節影を認め,MRIでT1低信号,T2軽度低信号を呈し,肺腫瘍を疑った.経皮針生検で腫瘍は細胞異型の乏しい紡錘形細胞からなり,desminに強陽性,細胞分裂像は1/10HPFsで平滑筋腫と診断されたが,FDG-PETでSUVmax 8.7と高集積を認めたため,悪性腫瘍を疑い,胸腔鏡下に右上葉切除+ND2a.1を行った.術後病理診断は低悪性度の平滑筋肉腫であった.肺原発平滑筋肉腫の本邦報告例のうち男性に発症したものとしては最年少と考えられる1例を経験したので報告する.
  • 原野 隆之, 河野 匡, 藤森 賢, 鈴木 聡一郎, 福井 雄大
    2013 年 27 巻 7 号 p. 863-866
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    症例は32歳女性.2008年3月初発の左自然気胸に対し,胸腔鏡下肺部分切除,酸化セルロースシートを用いた胸膜被覆術を施行した.2010年11月左自然気胸再発を来たし,再手術を行ったところ,酸化セルロースシートを貼付した部位は,周囲と癒着することなく胸膜が肥厚しており,酸化セルロースシート非被覆部にブラの新生を認めた.近年,気胸手術の際,肺瘻コントロールや再発予防の試みとして,酸化セルロースシートやポリグリコール酸シートを用いて胸膜を被覆する症例が増えている.とくに酸化セルロースシートは胸壁と癒着させることなく,臓側胸膜を肥厚させるとされており,その有用性がこれまで報告されてきた.今回,胸膜被覆後に非被覆部の新生ブラが原因で再発した自然気胸症例に対し,再手術を施行し,胸膜被覆部に良好な臓側胸膜の肥厚を確認しえた1例を経験したので術中所見とともに報告する.
  • 坂口 幸治, 堀尾 裕俊
    2013 年 27 巻 7 号 p. 867-871
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    肺内異物として伏針等の報告があるが,今回我々は,竹串様の肺内異物を伴った肺癌の1手術例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は81歳男性.左肺結節を指摘され精査加療目的に紹介.胸部CTでは左S1+2bに大きさ1.6 cmの結節を認めるほか,以前よりその存在が伺えたS3bの縦隔側から大動脈弓辺縁に向かう線状の構造体を認めた.気管支鏡検査では確定診断に至らず.2ヵ月後の経過観察CTで結節は2.2 cmに増大したため,胸腔鏡下肺生検の方針とした.胸腔鏡で観察すると左上葉縦隔側は炎症性の癒着を認め,肺内から大動脈弓に向かう棒状の硬い構造体を認めた.結節は扁平上皮癌で,構造体とともに摘出すべく上区切除術とリンパ節郭清を行った.硬い構造体はほぼ全体が炭化していたが,一部の縦断面で細胞壁を有する植物細胞に類似した構造が見られた.竹串様の構造体が想像されたが,何であるかの確定には至らなかった.
  • 伊藤 公一, 奥田 昌也, 横田 直哉, 徳永 義昌, 新居 和人, 横見瀬 裕保
    2013 年 27 巻 7 号 p. 872-876
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    胸骨を含めた胸壁全層切除を施行後,expanded polytetrafluoroethylene(ePTFE)patchおよびtitanium plateを縦方向に用いて胸壁再建を行った1例を経験した.61歳女性で1年前より左前胸部に熱感を伴った腫瘤を自覚していた.fibrosarcomaと診断され根治手術目的に紹介となった.根治術として胸壁全層切除を行い,断端が陰性であることを確認後,ePTFEとplateを用いて再建した.残存肋骨が非常に脆弱でplateの固定に十分な強度がなかったため,縦方向にplateを固定し再建した.術後6ヵ月経過するが,plateの変形や合併症はなく経過良好である.肋骨同士をplateでつなぐ横方向の再建は数多くみられるが,縦方向の再建はまれであり,これを報告する.
  • 木村 賢司, 中野 淳, 野口 未紗, 藤原 敦史, 亀山 耕太郎, 奥村 典仁
    2013 年 27 巻 7 号 p. 877-881
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    症例は50歳の女性.検診の胸部X線で異常陰影を指摘され,胸部CTで中縦隔に50 mm大の嚢胞性腫瘤を認めた.これに対して胸腔鏡補助下に縦隔嚢胞切除を施行した.椎体腹側に表面平滑な嚢胞性腫瘤を認め,内容液は白色混濁しており乳びが疑われた.この所見より胸管嚢胞の可能性を考え,流入・流出するリンパ管様の索状物をクリッピングした.術後,嚢胞内容液のTGが高値であること,嚢胞壁が免疫病理組織学的にリンパ管内皮細胞であることが確認され,胸管嚢胞と診断した.胸管嚢胞の治療法は手術であるが,術後合併症として乳び胸が多く報告されている.本症例では胸管を確実に処理したことで,乳び胸の発症を予防できたと考えられた.
  • 長阪 智, 喜納 五月, 市原 智史, 横手 芙美, 桑田 裕美, 伊藤 秀幸
    2013 年 27 巻 7 号 p. 882-887
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.胸部CT検査にて前~中縦隔右側に腫瘍を認め,左右腕頭静脈・心嚢にも浸潤を疑わせた.浸潤性胸腺腫の疑いにて手術を行なった.手術は胸骨正中切開に右第4肋間前側方切開を加え行なった.腫瘍の一部を術中迅速病理に提出,胸腺腫の診断を得た.心嚢切開後,右房浸潤を認め,人工心肺を確立,右房合併切除術を行い,その後拡大胸腺摘出術,上大静脈再建術を行なった.術後経過は良好で,胸部CTにてグラフト開存を確認後に退院となった.最終病理診断は胸腺腫B2/B3の診断であった.退院から2週間後に外来受診となった.その際,全身倦怠感を訴え,前脛骨部の浮腫が著明であった.胸部レントゲンにて両側胸水を認め,血液検査では急性腎不全の診断となり同日再入院となった.腎生検にて,微小変化型ネフローゼの診断に至り,腎臓内科に転科,治療を行なっていたが,術後9ヵ月後に誤嚥性肺炎にて失った.
  • 牧内 明子, 前田 知香, 金子 源吾, 伊藤 信夫
    2013 年 27 巻 7 号 p. 888-893
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    症例は68歳男性.CT検診にて前縦隔腫瘤を指摘され受診した.胸部CTにて前縦隔に41×26×53 mmの充実性腫瘤が認められ,FDG-PET-CTでFDG高集積(SUV max 6.6)を示した.拡大胸腺摘出術を施行した結果,胸腺悪性孤立性線維性腫瘍(MSFT)と診断された.術後5ヵ月目に縦隔再発・多発全身転移を来し,全身化学療法・放射線照射を施行したが,術後23ヵ月目に死亡された.多くの孤立性線維性腫瘍(SFT)は臓側胸膜に発生し,胸腺発生は稀である.一般にSFTは良性腫瘍と認識されているが,前縦隔発生のSFTは胸膜発生のSFTに比して組織学的・生物学的悪性度が高い傾向があると報告されており,診療にあたっては注意を要する.悪性SFT手術症例に対しては術後補助療法の施行を検討すべきかもしれないが,確立された治療が存在しないことが課題である.今後有効な術後補助療法の確立が望まれる.
  • 伊藤 祥隆, 小林 弘明
    2013 年 27 巻 7 号 p. 894-898
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    症例は84歳,男性.検診にて異常陰影を指摘され,精査目的に当院を受診した.胸部CTにて左下葉に径1.5×1.2 cmの結節を認めた.原発性肺癌を疑い,診断を兼ねた治療目的での手術適応と判断した.直前に冠動脈ステントを留置していたため1.5ヵ月後の手術予定としたが,その直前に行ったCTにて結節は縮小していた.経過から炎症性腫瘤と判断し経過観察の方針とした.しかしながら初診から4ヵ月後と9.5ヵ月後のCTでは結節の緩徐な増大を認めたため,改めて手術の適応と判断し胸腔鏡下左肺部分切除を行った.病理組織学的検索から小細胞癌と診断した.術後1年9ヵ月を経過するも再発は認めず外来にて経過観察中である.結節性病変に一時的な縮小を認めた場合にも,悪性腫瘍の可能性が否定できないためその後の経過観察には注意が必要である.
  • 三浦 健太郎, 齋藤 学, 竹田 哲, 江口 隆, 椎名 隆之, 吉田 和夫
    2013 年 27 巻 7 号 p. 899-903
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    多房性胸腺嚢胞(MTC)は1991年にSusterらが疾患概念を提唱した比較的稀な疾患である.MTC術後に残存させた嚢胞病変のその後の10年の経過を報告する.症例は55歳男性.頸部腫脹を自覚し近医を受診した.胸部CT及びMRIで,甲状腺下極から前縦隔右側に長径80×60×40 mm大の多房性の嚢胞性腫瘤を認め,当科紹介となった.CTガイド下生検では確定診断が得られず,悪性疾患が否定できないため手術を行った.胸骨縦切開にて胸腺右葉切除術を行った.術中迅速組織診断では悪性所見はなく,胸腺左葉や頸部に病変が残存したまま終了とした.病理組織診断はMTCであった.術後1年ごとに現在まで10年間のCTによる経過観察を行っているが,残存病変は大きさ,性状ともにほぼ不変である.しかしながら,近年,MTCと胸腺腫,胸腺癌の合併頻度が高いことが報告されつつあり,今後更なる経過観察が必要であると思われた.
  • 管野 隆三, 樋口 光徳, 大石 明雄
    2013 年 27 巻 7 号 p. 904-908
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    特発性縦隔気腫(SPM)の再発後,経時的に,自然気胸を合併した症例を経験したので報告する.症例は15歳,男性.感冒様症状を自覚した2日後に,咳嗽,胸痛出現,当科受診.胸部単純X線,CTで皮下気腫,縦隔気腫を認めSPMの診断にて入院.抗生物質と安静にて軽快退院.17歳時,何ら誘因なく咽頭痛,頸部皮下気腫が出現,同疾患再発のため当科にて同様に加療.18歳時には,左胸痛から左自然気胸が発見され胸腔鏡下手術を施行した.気胸手術後1年を経過する現在,両疾患の再発は認められていない.SPMの再発は稀であり,さらに経時的に自然気胸も合併したという報告例はない.SPMも自然気胸も疾患の背景因子が類似しており関連性について文献的考察を加えて報告する.
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