日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
増大傾向を示し肺癌との鑑別を要した溶接工肺の1例
名部 裕介中川 誠花桐 武志川波 敏則迎 寛田中 文啓
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2014 年 28 巻 1 号 p. 75-79

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抄録

症例は46歳男性.30年間アーク溶接作業に従事しており,じん肺健康診断での胸部単純X線写真で経時的に増大する左上肺野の空洞性病変を指摘された.胸部CTで左肺上葉に空洞性結節を認め,気管支鏡検査を施行したが確定診断は得られなかった.画像上肺癌を否定できず,診断および治療目的で胸腔鏡下に左上葉部分切除を施行した.術中迅速病理組織学的診断では炎症性変化の所見を認めるのみで悪性所見は認められず,永久標本での病理組織学的診断はpulmonary siderosisで,職業歴から溶接工肺と診断した.溶接工肺は溶接作業によって発生する吸入性有害物によって起こる職業性健康障害の良性疾患であるが,時に肺癌との鑑別を要することがある.

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© 2014 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
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