日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
胸腔鏡下心膜開窓術を施行した心嚢液貯留症例の検討
庄村 遊藤永 一弥高橋 豊浜川 博司阪本 瞬介藤井 健一郎寺西 智史水元 亨
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2014 年 28 巻 2 号 p. 132-137

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抄録

心嚢液貯留の治療としては抗炎症剤や利尿剤などの投薬治療,剣状突起下や胸骨傍アプローチによる心嚢穿刺,剣状突起下心膜切開ドレナージ術が一般的に行われている.しかし,再発例や局在性心嚢液貯留のため上記では対処できない症例には胸腔鏡下心膜開窓術を行っており,過去5年間に経験した8例(男4/女4,平均年齢69歳)を検討した.病因は開心術後心嚢液貯留6例,心不全再発,癌性心膜炎に伴う局在性心嚢液貯留が各1例であった.胸腔鏡下心膜開窓術の選択理由は,局在性心嚢液貯留6例,再発1例,ペースメーカーリードの位置が原因で他のアプローチが困難なものが1例であった.開窓の大きさは2×2~5×2 cmで全例軽快退院した.術後観察期間3.0±1.7年で,術後再発は3年2ヵ月後の1例のみであった.再発例や局在性の心嚢液貯留の治療として,胸腔鏡下心膜開窓術は良好な視野の下,確実な開窓手技を行うことができ有益である.

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