2014 年 28 巻 2 号 p. 164-169
症例は76歳男性.某年5月に頭皮の血管肉腫に対して外科的治療が行われた.翌年1月に他院で両側気胸に対して右胸腔鏡下生検が行われ血管肉腫の肺転移と診断され,当院緩和ケア病棟に入院となった.その後右気漏が残存したため,胸腔鏡下に右肺瘻閉鎖術を施行した.気漏部位を連続縫合と自動縫合器で閉鎖しポリグリコール酸シートを用いて補強した.術後5日目に右胸腔ドレーンを抜去し,術後21日目に退院となった.術後36日目に左気胸が再燃し緩和ケア病棟に再入院した.血胸,肺出血を併発し術後91日目に死亡退院となった.肺転移から続発する気胸は内科的治療による改善が難しく,緩和治療においてもドレーンによる創痛や行動制限の原因となる.長期間病状が安定している場合外科的な肺瘻閉鎖を検討すべきであり,緩和的意義もあると考えられた.