抄録
肋骨に発生して胸痛をきたした骨軟骨腫の1例を経験したので報告する.症例は20歳,男性.中学生時より左側臥位になると左胸痛が出現した.平成25年6月スポーツ観戦中,非常に強い左胸痛が生じて他院を救急受診し,胸部異常陰影が認められたため当科紹介となった.胸部CTでは左第5肋骨に長さ20 mm,骨と同じdensityを示す棘状の隆起物と,この隆起物の先端から心嚢上に広がる軟部組織陰影を認めた.胸腔鏡下に観察したところ,左第5肋骨より突出する細長い骨様突起物を認め,この先端に相対する心嚢と臓側胸膜の肥厚を認めた.この突起物の直上に2 cmの皮切をおき,リュウエルを用いて切除し,肥厚した心嚢の一部を生検のため切除して手術を終了した.病理組織所見では突起物については,骨棘状の骨組織の上に軟骨帽が乗っており骨軟骨腫と診断され,心嚢上の肥厚組織については,刺激に伴う反応性変化として矛盾しないとの回答であった.術後より速やかに左側臥位における胸痛は消失した.