抄録
症例は43歳,男性.薬剤抵抗性の高血圧にて前医受診.顔面色素沈着,中心性肥満を認め血液検査でACTHとコルチゾールが上昇していたため,ACTH依存性Cushing症候群が疑われた.胸部CTで右肺下葉に1.6 cmの結節陰影を認め,ACTH産生肺腫瘍の疑いで手術を施行した.術中迅速診断で肺腫瘍はカルチノイドと診断されたため,右下葉切除+ND2a-1を施行した.術後病理組織検査では,定型肺カルチノイドと診断され免疫染色でACTHが陽性であった.また術後ACTHとコルチゾールは低下しており異所性ACTH産生肺カルチノイドと考えられた.術後13ヵ月再発の兆候なく健在である.