日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
LigaSureTMベッセルシーリングシステムを用いた胸壁腫瘍切除の工夫:浅胸筋群を温存した胸壁切除
川口 剛史渡邊 孝河合 紀和東条 尚
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2015 年 29 巻 2 号 p. 150-154

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抄録
胸壁腫瘍切除の際にLigaSureTMベッセルシーリングシステム(以下LS)の使用が有用であった症例を経験したため,その手技の工夫を報告する.病変は腎細胞癌の胸壁転移で,左第9肋骨長軸に沿った扁平な腫瘤であった.第8-10肋骨の切除を行ったが,肋骨長軸方向への腫瘍進展が長く,腹側は肋軟骨部付近での処理,背側は椎体付近での処理を要した.第9肋骨背側に10 cmの斜切開をおきアプローチした.背側の肋間筋,肋骨の切離は直視下に行った.腹側に向かっては,胸腔鏡補助下にLSを用いて肋間筋や軟部組織の切離を行った.しかし,胸壁腹側端の肋骨,肋間動脈の切離が困難であったため,それらは直上に3 cmの操作孔を追加し直視下に行った.LSによる肋間筋,肋間動脈の切離は確実な止血が得られ,遠位部の操作であっても容易に行えた.胸腔鏡とLSを併用することにより,最小限の皮膚切開,浅胸筋群の開排で病巣を摘出し得た.
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