日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
胸腔鏡下肺葉切除術を施行した肺葉内分画症の1例
青山 万理子三好 孝典井上 聖也日野 直樹露口 勝
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2015 年 29 巻 2 号 p. 160-165

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抄録
肺葉内分画症に対し,胸腔鏡下肺葉切除術を施行し,良好な結果が得られた1例を経験したので,報告する.患者は30歳,男性.幼少時より胸部異常陰影を指摘されていたが,特に症状を認めず放置していた.発熱,関節痛,全身倦怠感を自覚し,前医を受診した.精査の結果,肺葉内分画症とその部位の肺化膿症と診断され,治療目的に当院へ紹介となった.MEPMの投与を行い症状の改善を認めたが,胸部CTで膿瘍腔は残存しており,手術の方針とした.術前造影CTでは,胸部下行大動脈から左横隔膜に接して分画肺へと繋がる血管を認めた.術式は,胸腔鏡下左肺下葉切除を選択した.発症より20日目に施行し,術後10日目に退院となった.肺分画症に対し,胸腔鏡下肺葉切除を安全に施行することが出来た.また,初回感染発症後,早期の外科的治療は根治的治療として非常に有効であると考えられた.
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