抄録
症例は45歳男性,健診で左胸水を指摘され当院へ紹介された.胸水は乳糜で現病歴および諸検査より特発性乳糜胸と診断した.保存的治療を行ったが治癒に至らず胸腔鏡下に左横隔膜上の漏出部縫縮術と右胸管結紮術を施行した.術後も左胸腔内から乳糜胸水漏出が持続したため左胸膜癒着術を施行した.術後18日目に右側に乳糜胸水貯留を認め,右胸膜癒着術を追加することで治癒を得た.成人の特発性乳糜胸はまれであり保存的治療に抵抗性であることが多く,外科治療を施行しても再発することがある.今回我々は保存的治療で治癒せず手術治療後に再発し両側の胸膜癒着術を施行することで治癒した治療に難渋した成人特発性乳糜胸を経験した.