抄録
症例は67歳男性.CTで左肺上葉S3に結節影を指摘され,精査の結果,臨床病期cT2aN0M0 cStage IBの肺癌(扁平上皮癌)と診断.左肺上葉切除術を施行(sT2aN0M0 sStage IB).病理組織結果は低分化扁平上皮癌(pT2aN0M0 pStage IB).術後76日目に発熱と左胸水貯留あり入院.膿胸が否定できず手術を施行.術中所見は胸膜播種であった.1,2回目の手術前の血清G-CSFはそれぞれ22.8,126 pg/mlであった.G-CSFの免疫組織化学染色は1回目の手術検体では陰性であったが,2回目の手術検体において腫瘍細胞が染色された.したがって完全切除後の術後再発時に顕在化したG-CSF産生腫瘍と考えた.