日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
急性膿胸に対する胸腔鏡下手術35例の検討―血清アルブミン値は術後合併症予測因子となりうる―
河北 直也広瀬 敏幸森下 敦司住友 正幸
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2015 年 29 巻 5 号 p. 559-565

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抄録

急性膿胸に対する胸腔鏡下手術は低侵襲で安全性が強調される報告が多いが,適応拡大に伴い,全身状態不良な患者においては合併症,死亡率ともに高いことが示唆されている.2011年1月からの3年間に当院で肺炎後の急性膿胸に対して35例の胸腔鏡下手術を施行し,術後合併症は10例(29%)で,在院死は3例(8.6%)であった.術後合併症に与える術前の因子を検討したところ,術前の血清アルブミンの最低値が合併症群2.4±0.4 g/dlで非合併症群の2.9±0.6 g/dlよりも有意に低く(p=0.012),また,PS0-2の患者よりPS3-4の患者が合併症を高率に発症していた(p=0.002).ROC曲線からはアルブミンのカットオフ値を2.5 g/dl以下にすると感度84%,特異度80%で合併症発生予測が可能であった.今後,合併症危険群を術前に判断し,それに応じた治療戦略を考慮する必要があると思われた.

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