日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
同一肺葉に部分肺静脈還流異常を合併した肺扁平上皮癌の一例
橋本 雅之花岡 淳大塩 恭彦五十嵐 知之片岡 瑛子林 一喜
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2015 年 29 巻 6 号 p. 727-731

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抄録
症例は79歳,男性.大腸癌術後フォロー中の2013年1月,胸部CTで右S2に浸潤影を指摘され,同年7月CTで右B2内腔に気管支を閉塞する結節影を認めた.肺扁平上皮癌cT1bN0M0 stage 1Aと診断され,手術目的に当科紹介となった.術前CTで右上葉肺静脈の上大静脈及び奇静脈への還流異常を認め,部分肺静脈還流異常と考えられた.経胸壁心エコーで右室圧46.4 mmHgと上昇を認めたが,その他心機能異常を認めず,全身状態も良好であった.切除予定肺への還流異常のため,術後心不全のリスクは低いと判断し,2013年9月右上葉切除術を施行した.術後1ヵ月目の心エコーでは,右室圧41 mmHgと改善していた.PAPVCは稀であり術前診断が困難で,手術時に初めて確認されることが多い.自験例では術前のCT水平断でPAPVCを指摘し得たが,3D CTの併用により適切な手術計画を立てることが可能であった.
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