日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
腋窩キャッスルマン病を合併した原発性肺癌の一例
柿添 学鈴木 浩介佐伯 典之
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2015 年 29 巻 6 号 p. 722-726

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抄録

症例は67歳男性.検診にて胸部異常陰影を指摘され,精査CTで右肺S4結節と右腋窩結節を認めた.肺結節はtransbronchial lung biopsy(以下,TBLB)で腺癌,腋窩結節はcore needle biopsy(以下,CNB)で反応性リンパ節腫脹と診断された.FDG PET/CTでは上記以外に病変を認めず,腋窩結節のmaximum standardized uptake values(以下,SUVmax)は4.1と軽度高値であった.肺癌の腋窩リンパ節転移を完全に否定できなかったため,腋窩結節切除生検を施行した.術中迅速診断で腋窩結節に明らかな悪性所見を認めなかったため,引き続き肺癌に対して定型手術を施行した.病理診断の結果,肺結節は腺癌pT1aN0M0 Stage IA,腋窩結節はhyaline vascular typeのキャッスルマン病(Castleman's disease,以下CD)と診断された.CDは稀なリンパ増殖性疾患であるが,本症例のように悪性腫瘍に合併することがある.その際は転移性リンパ節腫脹と誤認される可能性もあり,正確な術前および術中診断が重要となる.

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