抄録
症例は20代女性.外陰部発生の類上皮肉腫で術後経過観察中であった.2013年に左気胸を発症し保存的加療で軽快したが2014年に再度左気胸を発症した.CTで両側肺野に薄壁空洞性病変を認め左肺部分切除術を施行した.病理検査で類上皮肉腫肺転移の診断を得た.他部位の薄壁空洞性病変も類上皮肉腫肺転移を疑い右肺下葉部分切除術および左肺S6区域切除術を施行した.病理検査にて同様の所見であった.類上皮肉腫は稀な軟部腫瘍でありしばしば肺転移をきたすとされるが,本邦において転移巣が薄壁空洞を形成した報告は少ない.また転移巣により続発性気胸をきたした報告も少なく,その機序も明らかではない.本例は,腫瘍によるチェックバルブ機構により空洞病変の形成および続発性気胸をきたしたと考えられた.類上皮肉腫肺転移による続発性気胸をきたした稀な1例を経験したので報告する.