日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
前縦隔腫瘍として外科的切除した稀な胸腺結核症の一例
西野 将矢須田 健一岩﨑 拓也榎木 英介佐藤 隆夫光冨 徹哉
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キーワード: 縦隔腫瘍, 胸腺, 結核
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2016 年 30 巻 1 号 p. 31-35

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抄録

症例55歳女性.ネフローゼ症候群のため当院腎臓内科に通院中であった.腸結核の治療歴あり.胸部CTで前縦隔に左肺上葉に接する2 cmの結節性病変を指摘され,胸腺腫疑いで当科紹介となった.FDG-PETで主病巣にSUVmax 6.93の強い集積あり,左鎖骨上窩,気管分岐部,右肺門リンパ節にも淡い集積を認めた.胸腺腫に加え,鑑別疾患として胸腺癌,縦隔原発不明癌も考えられた.同年12月に確定診断も兼ね,胸腔鏡下前縦隔腫瘍摘出術(左肺上葉も一部合併切除)を施行した.腫瘍に割を入れたところ膿性の排液あり,結核菌PCRにて陽性であった.病理組織は胸腺組織内に乾酪壊死を伴う類上皮肉芽腫を認め,胸腺結核症と診断した.胸腺結核は稀な病態であるが,本邦での結核罹患者数は依然多く,結核の既往の有無に関わらず縦隔腫瘍の治療に際しては胸腺結核も考慮する必要がある.

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