日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
睡眠時無呼吸症候群が術後無気肺の原因と考えられた下葉切除の2例
丸井 努村川 眞司
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2016 年 30 巻 1 号 p. 46-51

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抄録

近年,睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)は社会的に注目されているが,自覚症状のない患者を診断することは困難である.今回,肺葉切除術後,無気肺を合併しSASと診断された2例を経験したので報告する.症例1は転移性肺腫瘍の診断で,症例2は右下葉肺癌の診断で右下葉切除術を施行した.症例1は術後1日目に,症例2は術後6日目に胸部単純写真で胸水の増加を認め,胸部CTで中葉の無気肺を認めた.両者とも傾眠傾向,睡眠後の無呼吸とSpO2の低下を認めたためSASを疑い経鼻的持続的陽圧呼吸療法を開始した.翌日には無気肺の軽快を認めた.ポリソムノグラフィーで,無呼吸・低呼吸指数は,症例1は89.6,症例2は45.8であった.肺葉切除術後に無気肺が発生した場合には,原因として睡眠時無呼吸症候群の合併もあることを考えるべきであると思われた.

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