抄録
葉切非耐用症例におけるI期非小細胞肺癌症例(NSCLC)の局所療法は,放射線療法と外科的切除に大別される.定位放射線照射(SBRT)の多施設前向き試験(JCOG0403)では,3年全生存率76.0%,3年無増悪生存率69.0%,Grade 3以上の有害事象発生率は9.0%と報告されている.一方,葉切非耐用I期NSCLC症例の縮小肺切除の前向きのエビィデンスの集積はなく,多施設研究で検討した.NSCLCは32例登録され,男女比は30:2,年齢(中央値)74歳(61-85歳)で,Grade 3の合併症2例(6.3%)を認めたが,手術死亡はなかった.切除断端再発は1例(断端局所制御率96.9%),同一胸腔内再発は8例(局所再発制御率75.0%),3年生存率は79.0%,3年無増悪生存率は75.9%であった.葉切非耐用症例患者における縮小肺切除は安全で良好な治療成績が期待でき,SBRTと対比しうる.