日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
診断に苦慮した副腎皮質癌肺転移の1例
西川 仁士中村 龍二荒木 恒太岡田 真典藤原 俊哉松浦 求樹
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キーワード: 副腎皮質癌, 肺転移
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2016 年 30 巻 6 号 p. 737-741

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抄録

副腎皮質癌は病理組織学的診断が比較的困難であり,肺転移巣においても肺癌との鑑別が困難な場合があると考えられる.われわれが経験した患者は65歳男性.主訴は右胸痛と背部痛.画像検査で右肺下葉に37 mm大の腫瘤と右副腎に58 mm大の腫瘤を指摘された.腫瘍マーカーはpro-GRPがやや高値で,気管支鏡検査とCTガイド下肺生検を行ったが確定診断には至らなかった.IV期肺癌が疑われたが,化学療法を施行するにあたり組織診断を得るため手術療法を先行して行う方針となり,右肺下葉切除術を施行した.しかしやはり確定診断に至らず,右副腎摘出術を施行.副腎皮質癌および肺転移と判明した.その後全身多発転移を認め,化学療法を施行したが効果はみられず,初診から9ヵ月目に死亡した.

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