2017 年 31 巻 1 号 p. 3-7
背景:縦隔原発非セミノーマ胚細胞腫瘍(non-seminomatous germ cell tumor:NSGCT)の治療は化学療法が第一選択であり,手術は通常,腫瘍マーカーが正常化した症例における残存病変に対して行われる.一方,正常化が得られない場合にも手術が施行されることがあるが,その治療成績,予後は明らかにされていない.対象:2008年8月から2013年2月までに当院で施行されたNSGCTに対する手術症例7例.結果:AFPは初診時全例で高値,化学療法後正常化せず手術に臨んだ症例は3例であった.そのうちviable cellの遺残を認めた1例で術後再発があり原病死しているが,他2例においては無再発生存が得られている.結語:縦隔原発NSGCTでは,化学療法後にAFPが正常化しなくても大幅な減少が得られれば,残存病変切除により長期生存を期待できる症例がある.