日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
三次元内視鏡システムを用いた完全胸腔鏡下肺葉切除術の有用性
三村 剛史原田 洋明山下 芳典
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2017 年 31 巻 5 号 p. 579-585

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抄録

完全胸腔鏡下肺切除手術は現在広く実施されているが,二次元映像による空間認識能力低下が欠点として挙げられる.それを解消しうる3D内視鏡システムが近年開発された.我々は2015年以降,腫瘍径30 mm以下(cN0)の原発性肺癌に対する完全胸腔鏡下肺葉切除術に本システムを採用している.本研究では本システム導入前の2D内視鏡使用症例と比較し,その有用性を検討した.3D内視鏡による群(3D群;n=34)と,2D内視鏡による群(2D群;n=73)において,手術時間は3D群で有意に短く(3D群202分,2D群224分,p=0.029),出血量も有意に少なかった(3D群30 g,2D群60 g,p=0.002).3D内視鏡システムによる完全胸腔鏡下肺葉切除術は,従来の2D内視鏡システムに比して,より短時間で安全に手術が実施可能と考えられるが,その普及のために検討を要すると思われる.

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