2017 年 31 巻 5 号 p. 593-597
肺の孤立性毛細血管腫は,毛細血管内皮細胞の単純な増殖からなる良性腫瘍であり,予後良好な疾患とされている.また,胸部CT上スリガラス陰影を伴う結節影として描出されることがあるため,高分化型の肺腺癌との鑑別が難しい.症例は42歳女性.胸部CTで右S9区域にスリガラス陰影を伴う13 mm大の結節影を認め,高分化型肺腺癌を疑い胸腔鏡下底区域切除術を施行した.術後病理組織診断は孤立性肺毛細血管腫であった.細胞密度の高低により,中心部充実性と周囲スリガラス陰影となって抽出されていた.